シノス

椿 姫   1896年 リトグラフ

椿姫

悲恋物語
 原作は1848年にフランスで出版されたアレクサンドル・デュマ・フィス(小デュマ)の小説。名門の青年と高級娼婦の純愛が父親に裂かれる悲恋物語です。 劇場初演は1852年、サラ・ベルナールの舞台(1892初演)とヴェルディのオペラ「ラ・トラヴィァタ」で有名になりました。
純白の衣装
 サラ・ベルナールは「椿姫」を新しい解釈で1896年に再演しました。ポスターはこのときのものです。 サラの依頼で舞台衣装もミュシャがデザインしました。 ミュシャの衣装は当時のファッション界にも新風をもたらしたといわれています。 白い衣装と白い椿は娼婦マルグリット(オペラではヴィオレッタ)の純愛を表わしています。 サラはこのポスターが気に入って1905年と1910年2度のアメリカ公演ポスターにも使いました。
永遠の愛
 マルグリットは「椿姫」の名前のとおり髪に一輪の椿を飾っています。 花弁だけの椿はしおれる花で椿姫の悲恋を表わし、一方、ポスターの左下に描かれている椿は緑の葉をつけた枝が左右対称に描かれていてマルグリットとアルマン(ジェルモン)の永遠の愛を表わしています。
 上部の枠にはマルグリットの犠牲の愛を示すイバラで傷ついた心臓が描かれています。

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