シノス

ジスモンダ  1894年 リトグラフ

伝説のポスター
 ミュシャは、初めて手がけたこのポスターによってパリ中に知られるようになったといわれています。 ルメルシェ・リトグラフ工房でクリスマスに仕事をしていた時たまたまサラ・ベルナールから電話が入って…というお話はあくまで伝説であって本当は少し異なるようですが、このポスターがミュシャの成功につながったのは事実です。
繊細な色合い
 当時、パリの街でジスモンダを実際に見たブライアン・リードは 「細長く等身大に近い姿が地面から数インチのところに貼られたのでとてもドラマチックだった。 派手な原色で注意を引く代わりに繊細な色合いで目立ったのである。」 と記しています。
シュロの日曜日
 ジスモンダは、女神のごときサラ、聖なる怪物といわれた大女優サラ・ベルナール主演の演劇のポスターです。舞台はキリスト受難週の第1日、いわゆるイェルサレム入城の日、シュロの葉を手にジスモンダがイエスを歓迎する行列に加わろうとしているクライマックスを描いています。
 サラ・ベルナールの全身の立像、縦長の画面、古典的な画面構成、単純化した表現と細部の描写、写実と装飾性の調和など、ミュシャはこの1作でサラ・ベルナールのポスターのスタイルを確立しました。

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