『四つの星』を表現する花の装飾。
エーデルヴァイス(北極星)
最後の装飾パネル
『四つの星』は「装飾パネル」最後のシリーズです。発表は1902年ですが1899年頃からデザインをはじめています。ほかの連作装飾パネルと雰囲気が異なる理由は、夜空に光る星をテーマにしているためです。それだけでなく、この頃神秘主義に関心を寄せていたミュシャの心境が現れているともいわれます。
肌を照らす星の光
星をテーマにしていながら、『月』をのぞいては、直接に星を描くのではなく女性の肌を照らす光で星を表しています。星の光を効果的にするため画面の色調を落とし、星を象徴する女性は宙に浮かんでおり、頭の位置もほかの装飾パネルに比べると幾分高く描いています。
花と女性
絵をとりまく花は単なる装飾ではなく、それぞれの星のキャラクターを女性のポーズと花で表現しています。
『宵の明星』 = カンパニュラ (釣鐘草)
『暁の明星』 = 月桂樹
『月』 = 白ケシ
『北極星』 = エーデルヴァイス (雪割草)
カンパニュラの「鐘」は夕刻の訪れをイメージさせ、月桂樹は輝く金星にふさわしいものです。ケシのなかでも毒性の強い白ケシは眠りの象徴とされ、星の形に似たエーデルヴァイスは「アルプスの星」と呼ばれています。
宵の明星
月
暁の明星
『レイヨン・ドール(黄金の光)ランプ』
(1895年) パル
『フェルナン・クレマン自転車』
(1894年) パル
『シリウス自転車』
(1899年) H.グレー
『リグレー・チュウインガム』
(1932年) O.シェパード
左から、カンパニュラ(宵の明星)、月桂樹(暁の明星)、白ゲシ(月)
北極星