男役のサラ・ベルナール
 16世紀のフィレンツェを舞台にした歴史劇 「ロレンザッチオ」 のポスター。 ミュッセの戯曲を改作した1896年12月上演時のポスターです。 男役のロレンザッチオが成功してサラ・ベルナールはハムレットにも挑戦します。
 ロレンザッチオはロマン派的人物の代表といわれ、作者ミュッセとジョルジュ・サンドの恋が、作品とロレンザッチオの性格に投影されています。
 
揺れる心
 左上の6つの赤い丸は、丸薬をはかるスプーンをアレンジしたメディチ家の紋章でフィレンツェを象徴します。 背景の文様もフィレンツェの豪華な織物を連想さ せます。 フィレンツェを襲うドラゴンの姿で暴君アレッサンドロ公爵を描いています。 町を救うため、また自分の名誉のために公爵を殺害する機会をうかがうロレン ザッチオは思案するポーズで描かれ、揺れる心を表しています。 S字形のポーズはアール・ヌーヴォーの特徴でもあります。
正義の剣
 下の枠ではロレンザッチオの剣 (柄(つか)が同じなのでロレンザッチォの剣だとわかります) が悪の公爵を刺しつらぬいています。 金色に描かれたゆらめく剣は正義を示す炎の剣です。機会をうかがうためにアレッサンドロと行動を共にしていた ロレンザッチオは市民に誤解されて暗殺されますが、炎の剣がロレンザッチオの正義を明らかにしています。

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シノス

ロレンザッチオ      1896年 リトグラフ