「春」と「秋」
『花』と『果物』は、2点連作装飾パネルの代表作です。咲き誇る花と、たわわに実った果物を胸に抱いた女性は、それぞれ「春」と「秋」の寓意(ぐうい)になっています。連作らしく衣装も髪の色もブロンドとブルネットと対比させています。
スラヴの夢
花と女性を描いたアールヌーヴォーのミュシャらしい連作装飾パネルにはジャポニズムの影響も見られます。しかしミュシャは、「女性」と「花」とをただ美しく描くだけの画家ではありません。
『果物』の腕につけた渦巻き形のアクセサリー、『花』の衣装とくに袖口の飾りは、どちらもスラブの伝統的な文様で、1900年パリ万博『ボスニアヘルツェゴビナ館の壁画』、スラヴの理想を擬人化した『スラヴィア』にも同じ文様を飾ってスラヴの希望を表現しています。
1900年パリ万国博覧会『ボスニアヘルツェゴビナ館壁画』(左 1900年)(部分) プラハ装飾美術館蔵
『スラヴィア』(右 1908年)(部分) プラハ国立美術館蔵