スラヴ菩提樹の下で宣誓する青年たち  ― スラヴ民族の目覚め ― 
プラハ市民会館壁画
「スラヴ叙事詩」は未完成 ?
ルミール
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テンペラと油彩 1926年  405×480 cm

歴史のなかで
 スラヴ叙事詩の中でこの作品は"現代"つまり19世紀後半から20世紀初頭のチェコを描いています。
(前景の 「ルミール」 と背景のスラヴィアは古代または伝説ですが)
 チェコを支配していたオーストリアは1867年にハンガリーと手を組んでオーストリア・ハンガリー二重帝国となります。これはチェコをはじめスラヴ系諸民族の抑圧が前提となっておりチェコでは急進的な青年チェコ党が誕生するなど対抗運動が起こります。
 この絵は1894年1月の青年チェコ党員68人が逮捕されたことを踏まえ、青年たちが古代の伝説にならってスラヴ菩提樹の下でスラヴィアに宣誓をしている場面です。スラヴィアへの青年の宣誓は、同じ頃に制作したプラハ市民会館の壁画でも描いています。 
 「スラヴ叙事詩」 は未完成だとよく言われます。それは完成後もミュシャが手を入れ続けていたこととこの絵で宣誓する青年たちの顔が描かれてないためです。実際、完成後初となる1928年プラハのスラヴ叙事詩展にはこの作品を除く19点だけを公開しました。
 「スラヴ叙事詩」は全体に象徴的な描き方をしています。しかし、登場する人物はどれもひとりひとりを特定できるほどリアルに描いているのに この作品だけ顔を描いていないのは人物の特定をミュシャが避けたからだと考えられます。スラヴ叙事詩が発表された当時政治家として活躍中の人物も含まれていました。
伝説とともに
 前景には、スラヴ叙事詩展ポスターの主題になり、古代の吟遊詩人ルミールを連想させるハープを弾く少女とその音色に耳を傾ける少年を描いています。少女のモデルはミュシャの娘ヤロスラヴァ、右側の少年は息子のイジーがモデルです。
 ヤロスラヴァという名前には「スラヴの春」「スラヴの祝祭」という意味があります。ミュシャは50才を前にしてはじめて生まれた娘に彼女の幸せとスラヴの未来の希望を重ねて名づけたのです。

スラヴ叙事詩

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