受難劇
 1890年の受難週に上演した宗教劇を1904年3月29日にパリのオデオン座で再演したときのポスターです。
 日本ではクリスマスが一般的ですがキリスト教ではイースター(キリストの復活祭)がもっとも大切な行事です。“受難週”とはイースター直前の一週間、イエスをイェルサレムに迎える棕櫚 (しゅろ)の日曜日からイースター前日の暗黒の土曜日までの7日間をいい、この間の出来事を劇にしたものを受難劇といいます。 ミュシャが知られるきっかけになった 「ジスモンダ」 も「サマリアの女」 も 受難劇です。
受難曲

 受難週の礼拝に用いられる音楽が受難曲です。もっともよく知られているのはバッハのマタイ受難曲。聖書の「マタイによる福音書」をテキストにしているためこのように呼ばれます。ほかにもバッハは「ヨハネによる福音書」を主なテキストにしたヨハネ受難曲を作曲しています。
 ポスターの下部には「ジャン(ヨハン)・セバスティアン・バッハの音楽」とありバッハの受難曲を土台に作られた劇であることがわかります。
受難の花
 イエスは茨(イバラ)を編んだ輪を手にしており背景にも茨の輪があります。十字架を負わされたイエスが刑場のゴルゴダまでの道をたどるときユダヤの王を揶揄して王冠のようにかぶせられキリストのシンボルとなった茨の冠を表わしていますが同時にトゲのあるソコルの輪、希望のシンボルとしての太陽を表わすミュシャの表現です。
 もうひとつ、ほかのポスターではあまり見ることのない花をイエスの背景に描いています。
 この花はトケイソウです。花を正面から見た印象が時計の文字盤を思わせるところから日本では“時計草”と呼んだのでしょう。
 1569年にペルーで発見されたこの奇妙で複雑な花を見てスペインの宣教師たちはイエスの受難と結びつけました。
 三つに裂けた葉は刑場の警吏が持つ槍、巻きひげは鞭(ムチ)、そして花弁や萼 (がく)、おしべ、めしべなど花の細部のそれぞれに使徒やイエスの傷、十字架、イエスを十字架に磔(はりつ)けるために打ち込んだ3本の釘と かなづち、茨の冠、さらには純潔や天国をあらわす色にまでなぞらえて受難の花と名づけたのです。
  英語でもパッション・フラワー(受難の花)と呼びパッション・フルーツはその果実です。
 ミュシャがポスターにトケイソウを使った例はこの作品だけですが挿絵にはトケイソウを描いたものがあります。「クリスマスと復活祭を告げる鐘」(E.ジェバール著)はタイトルが示しているように受難と係わりがあり、ミュシャの挿絵やイルミネーション(書籍の装飾)に描いた花が単なる飾りではなく文章とともに内容を語るものであることがわかります。

受 難      1904年  リトグラフ

ブルックリン美術館の
ミュシャ展

サロン・デ・サンの
ミュシャ展

第6回ソコル大会

 ミュシャがデザインした切手を見上げるスラヴィアを描いた記念切手。
 ここでは、トケイソウがチェコスロヴァキア復活を象徴しています。
(マックス・シュヴァビンスキーのデザイン) 1958年

「第6回ソコル大会」 のポスター

「サロン・で・サンのミュシャ展」 のポスター

「クリスマスと復活祭を告げる鐘」と「装飾資料集」 から

ブルックリン美術館のミュシャ展」 のポスター

「ジスモンダ」、 「サマリアの女」 のポスター

ミュシャ・コラム
「寄せ集めのミュシャポスター

シガリロ・パリ Los Cigarillos Paris
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挿絵にトケイソウを使っている例  「クリスマスと復活祭を告げる鐘」 (左) と 「装飾資料集」 (右)  画像をクリックすると部分を拡大します。

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トケイソウの一種 (京都府立植物園で撮影)

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ポスター

椿姫
ロレンザッチオ
メディア
サマリアの女
トスカ
ハムレット
カサンフィス印刷所
サロン・デ・サン第20回展
ランスの香水ロド
ジョブ
サラ・ベルナール
サロン・デ・サンでのミュシャ展
モナコ・モンテカルロ
ムース川のビール
トラピスティーヌ酒
ウェイヴァリー自転車
遠国の姫君
ズデンカ・チェルニー
ブルックリン美術館のミュシャ展
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