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カサンフィス印刷所のポスターから

「主の祈り」 (扉)

主の祈りから
(90度回転させています

アメリカのドル紙幣から

カサンフィス印刷所をデッサンするミュシャ

ミュシャ・コラム
「寄せ集めのミュシャポスター

トゥールーズ
 ミュシャはルメルシエ印刷所でジスモンダのポスターを制作して幸運を手にしました。 しかしその後フランスでは ほとんどのリトグラフをシャンプノア印刷所で制作しています。 わずかな例外が、カミ印刷所 ( 「リュション」 「愛人たち」) と このカサンフィスのポスターです。
 カサンフィス印刷所は パリではなく、フランス南西部の古都 トゥールーズにあります。 トゥールーズといえば画家のアンリ・ド・トゥールーズ・ロートレック。 名前からもわかるように彼はトゥールーズ伯爵家の生まれです。 ミュシャと並ぶ最高のポスター作家ロートレックは、サロン・デ・サンや石版画展を通してミュシャと交流がありました。
 トゥールーズは建築用の石材が近くにないため 多くの建物はオレンジ色のレンガ造りで、そのためにバラ色の都と呼ばれます。 また近世になって藍染めが盛んになりました。 このポスターの色調には そのような背景が影響しているかもしれません。
ミューズ
 ポスターには、印刷機を操作する男性と 刷り上ったリトグラフを手にする女性が描かれています。 この女性は髪に月桂樹を飾っており、芸術の女神クリオであることがわかります。 ギリシア神話の9人のミューズ
(ムサ) の一人クリオ (クレイオ) は、歴史の神でしたが、いつしか芸術の女神、美の女神に変わってきました。 ポスターは、印刷機から次々と刷り上るリトグラフを芸術の女神クリオが祝福しているところです。 (ギリシア語のクレイオには、祝福する、名声を得るという意味があります)
神の目
 背景の枠には、三角形ともハート形ともとれる形に描いた目が並んでいます。 おそらくこれは 「プロヴィデンスの目」 といわれる 「すべてを見通す神の目」 をあらわしているのでしょう。 ミュシャは 主の祈りなどほかの作品でもプロヴィデンスの目を描いています。 フリーメイソンのシンボルともいわれる この目は、プラハのロッジ
(フリーメイソンの支部) に属していたミュシャとフリーメイソンの係わりをうかがわせます。
 プロヴィデンスの目はアメリカのドル紙幣にも描かれています。 アメリカ建国とフリーメイソンの関係ともいわれますが、キリスト教国家アメリカへの神の祝福と神の摂理をあらわしているのでしょう。

カサンフィス印刷所      1897年 リトグラフ

ポスター