ミュシャ・コラム
「寄せ集めのミュシャポスター

シガリロ・パリ Los Cigarillos Paris
Click !

もどる





トラピスティーヌ酒のポスター
別の案のデッサン
「ラ・プリュム誌」より

クロス・パティ十字

椿姫
ロレンザッチオ
メディア
サマリアの女
トスカ
ハムレット
カサンフィス印刷所
サロン・デ・サン第20回展
ランスの香水ロド
ジョブ
サラ・ベルナール
サロン・デ・サンでのミュシャ展
モナコ・モンテカルロ
ムース川のビール
トラピスティーヌ酒
ウェイヴァリー自転車
遠国の姫君
ズデンカ・チェルニー
ブルックリン美術館のミュシャ展
Click !

まっすぐ!
 ミュシャ・スタイルは渦巻く髪が特徴ですが、このポスターの特徴は まっすぐ伸びる髪と白い衣装です。
 白い衣装はこのリキュール酒がトラピスト派の修道院に伝わった製法で作られていることを宣伝しています。 実際にはパリのルグィ・ド・デルベルグという酒造会社が作っていました。
クロス

 もうひとつの特徴は頭上の円にある十字架模様です。 女性のえり首にも同じ十字がデザインされています。 十字架はこのリキュール酒の起源が修道院にあることを示し、先端が広くなったクロス・パティと呼ばれる十字は瓶のデザインを印象付けます。 クロス・パティはドイツの鉄十字の起源でもあります。
 円の背景には、オーストリアとの関連でしょうか、双頭のワシが描かれています。 これらはすべてこの特異なポスターの意味と目線の流れを誘う重要な要素になっています。
集めて、集めて、集めて、そして・・・

 トラピスティーヌ酒のポスターの下半分はほとんど白です。 それに対して女性の顔のまわりはなんとカラフルなことでしよう。 髪に花を飾り、手にも花を抱え、花を持つ手の指は女性の顔に注目させるように指さしています。
 そう、ミュシャは女性の顔に注目させようとしているのです。 商品にではなくて女性の顔に。 同心円のえり飾りもその効果を高めています。
 そして、少し伏し目加減の女性の目がまっすぐ伸びる髪に誘い、髪の流れに導かれて画面下部へと注意を運びます。 見る人の注意は商品を載せたプレートによって直角に曲がり、商品の酒のビンへと誘われるのです。
 画面下部の色彩を白く抑えているため、髪の効果はより高められ商品が強く印象に残ります。 女性の顔のまわりが複雑であるほど商品に目がたどり着くとホッとしてしまいます。
 女性の体が軽く 「く」 の字に曲げられているのも、テーブルから垂れる布のひだ、商品に軽くかけている女性の左手、そして画面の隅の花など、すべての要素がこの効果をさらに強めています。
 ミュシャがいかに工夫を重ねてポスターをデザインしているかがよくわかる作品です。

トラピスティーヌ酒   1897年 リトグラフ

ポスター