はじめての男役
 16世紀のフィレンツェを舞台にした歴史劇 「ロレンザッチオ」 のポスター。
 アルフレッド・ミュッセ
(Alfred Louis Charles de Musset 1810-1857)の戯曲を改作した1896年12月上演時のポスターです。ロレンザッチオで初めて演じた男役が成功してサラ・ベルナール(Sarah Bernhardt 1844-1923)はハムレットにも挑戦します。
 ロレンザッチオはロマン派的人物の代表といわれ作品とロレンザッチオの性格には作者ミュッセとジョルジュ・サンド
(George Sand 1804-1876) の恋が投影されています。 
ゆれる心
 左上の6つの赤い丸はフィレンツェを支配したメディチ家の紋章で、丸薬を計量するためのスプーンをデザインしたものです。薬種業から始まったと伝えられるメディチ家の成り立ちを示しています。(医薬を表すmedicine という言葉に今も生きています)背景の文様もフィレンツェ特産の豪華な織物を連想させます。画面のデザインでフィレンツェを象徴し、ロレンザッチオの運命、逡巡、復活、正義などを伝えるミュシャらしい表現です。
 フィレンツェのシンボルに襲いかかるドラゴンはロレンザッチオのいとこでもある暴君アレッサンドロ公爵の邪悪を示しています。
 ロレンザッチオは町と市民を救うためまた自分の名誉のために公爵を殺すべきか思案するポーズで描かれ、S字形のポーズは揺れる心を表しています。S字形の造形はアール・ヌーヴォーの特徴でもあります。

ゆらめく炎の剣
 画面下の枠ではロレンザッチオの剣(柄(つか)が同じなのでロレンザッチオの剣だとわかります) が悪の公爵を刺しつらぬいています。金色にゆらめく剣は正義を表す炎の剣です。
 アレッサンドロを襲う機会をうかがうために公爵と常に行動を共にしていた ロレンザッチオはアレッサンドロを成敗したにもかかわらず市民からは公爵の仲間と誤解されて暗殺されますが、アレッサンドロを刺しつらぬく炎の剣がロレンザッチオの正義を明らかにしています。

ミュシャ・コラム
「寄せ集めのミュシャポスター

アレッサンドロを刺しつらぬく ロレンザッチオの剣 (上)
炎の剣を手に持つ正義の神 スヴァントヴィト (下)
「海の攻撃」裏表紙(ミュシャ)から (1922年)

初期のデッサン

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ロレンザッチオ      1896年 リトグラフ

ポスター